
半分以上の人が
もう使っている。
「生成AIが使える」は
武器になる?
職務経歴書に書ける
AIスキルの線引き
「使えます」では、
もう差がつきません。
「生成AIを使えます」と職務経歴書に書いていいのか。20代からよく出る質問です。
答えを先に言うと、書き方次第です。そのまま「使えます」と書くだけなら、ほぼ意味がありません。理由は単純で、もう半分以上の人が使っているからです。
この記事では、書いて評価される使い方と、書くと逆効果になる書き方を分けます。あわせて、いま実際に伸びている分野の賃金水準も確認します。
「使える」はもう差にならない
総務省の情報通信白書に、テキストを扱う生成AIサービスを使ったことがある人の割合が出ています。
出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」図表Ⅰ-1-1-2(2026年7月公表)。個人を対象としたアンケート調査。生成AIサービス全体では2024年度26.7%、2025年度58.8%。
24.0%から55.0%。1年で倍以上です。生成AI全体で見ても58.8%まで来ています。
応募者の半分以上が「使ったことがある」状態で、しかもその割合は来年さらに上がります。「使える」は資格ではなく、前提になりつつあるということです。
書くなら、使えるかどうかではなく、使って何が変わったかを書く必要があります。
それでも書ける人が少ない理由
利用率が55%あるのに、職務経歴書に書ける形で持っている人は少ないままです。
理由は、多くの場合「自分の作業を速くするために個人で使っている」段階で止まっているからです。メールの下書き、資料のたたき台、調べ物。便利ではありますが、これは本人の作業時間が短くなっただけで、外から見ると何も変わっていません。
評価の対象になるのは、その先です。業務の手順そのものを変えたか、ほかの人も使える形にしたか、品質の確認方法を決めたか。ここまで来ると、本人以外にも効果が出ます。
もうひとつの理由は、会社で禁止または制限されているケースです。この場合、書けるのは個人の範囲にとどまります。ただ、それでも書き方はあります。
3つめの理由として、使った記録を残していないことも挙げられます。所要時間がどう変わったかは、測っておかなければ後から思い出せません。いま業務で使っているなら、手順を変える前の時間を1度だけ記録しておいてください。それがそのまま職務経歴書の数字になります。
書いて評価される3つの線
どこまで踏み込んでいれば書く価値があるのか。線を3本引きます。
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線 1時間が何分から何分になったか言える
「資料のたたき台作りに毎回2時間かかっていたのを40分にした」。数字が入るだけで、使っているという話から成果の話に変わります。月に何回やる作業かも足せば、月あたりの削減時間が出ます。
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線 2自分以外の人も使える形にした
手順をまとめた、入力の型を用意した、チームに共有した。ここに届いていると、再現性のある改善として扱われます。「自分だけが速い」から「仕組みが速い」への違いです。
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線 3間違いの防ぎ方を決めた
生成AIは誤った内容を出すので、業務で使うには確認の手順が必要になります。「数値は元の資料と突き合わせる」「社外に出す文章は必ず人が最終確認する」といったルールを自分で決めて運用したなら、これはいちばん評価されやすい部分です。
3本のうち1本でも越えていれば、書く価値があります。越えていないなら、無理に書かずに別の経験を前に出したほうが書類は強くなります。
※社内の情報を外部サービスに入力することを禁じている会社もあります。規程に反する使い方を職務経歴書に書くと、そこが選考で問題になります。確認してから書いてください。
書くと逆効果になる書き方
逆効果 1
ツール名を並べるだけ
サービス名をいくつも書いても、使い分けの理由が書いていなければ「触ったことがある」としか読めません。スキル欄が埋まって見えるだけで、評価は動きません。
逆効果 2
「業務効率化に貢献しました」で止める
何の作業が、どれだけ、誰にとって速くなったのかがないと、面接で必ず掘られます。掘られて答えられないと、ほかの記述の信頼も落ちます。
逆効果 3
職務経歴書そのものをAIに書かせたまま出す
下書きに使うのは問題ありません。ただ、そのまま出すと具体的な数字が入らず、どこかで見た言い回しが並びます。面接で自分の言葉として話せない文が残るのがいちばん困るところです。材料は自分で用意して、整える部分だけ任せるのが安全です。
そのまま使える書き方の例
3つの線に沿って、書き方の例を出します。いずれも20代で現実的に出る規模です。
線1だけ越えている場合:「週次の営業報告の作成に、生成AIで下書きを作る手順を取り入れました。1回あたり90分かかっていた作業が30分になり、月で4時間ぶん空いた時間を顧客訪問に充てています。」
線2まで越えている場合:「問い合わせ返信の定型文を生成AIで作る手順を整理し、入力する項目をテンプレート化して部内4人で共有しました。返信までの平均時間が半日から2時間に短くなりました。」
線3まで越えている場合:「提案資料の下書きに生成AIを使う際の社内ルールを作りました。顧客名と金額は入力しない、数値は元資料と突き合わせる、社外提出前に上長が確認する、の3点を定めて運用し、半年間で内容の誤りによる差し戻しはありませんでした。」
どれも派手な話ではありません。作業名・数字・範囲の3つが入っているかどうかだけを見てください。
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AIに近い分野の賃金水準
「AIの分野に行けば給料が上がるのか」という話も確認しておきます。賃金構造基本統計調査で、産業別の賃金を見た数字です。
情報通信業が40.6万円、学術研究・専門技術サービス業が44.0万円。産業計の34.1万円に対して、それぞれ6.5万円、9.9万円高い水準です。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年 賃金構造基本統計調査の概況」第5-1表・第5-2表。一般労働者の所定内給与額・男女計。産業計は340.6千円、情報通信業406.0千円、学術研究・専門技術サービス業440.3千円。
水準としては上です。ただ、この数字は全年齢の平均で、未経験で入った20代がこの金額から始まるわけではありません。
また、情報通信業のなかでも会社によって給与の決まり方が違います。自社でサービスを持つ会社と、受託で人を出す会社では構造が別です。産業名だけで判断するのは危険な部分です。
現実的な使い方としては、いまの職種を変えずに、AIの導入が進んでいる産業に移るほうが通りやすくなります。職種と産業の両方を同時に変えるのは、年齢が上がるほど難しくなります。
もう1点、産業を移る場合は、その会社がAIを「使う側」なのか「売る側」なのかを分けて見てください。売る側では技術そのものの経験が問われますが、使う側では業務を知っていることのほうが評価されます。いまの職種の経験を活かすなら、後者のほうが接点を見つけやすくなります。
よくある質問
Q. 会社でAIの利用が禁止されています。何も書けませんか
個人での利用について書くことはできます。ただし業務成果としては使えないので、その場合は「禁止されている環境だったので個人で学習していた」という事実の記述にとどめます。それでも、関心を持って準備していたことは伝わります。
Q. プログラミングができないと、AIスキルとして弱いですか
職種によります。事務や営業であれば、コードを書く必要はありません。評価されるのは、自分の業務の手順を組み替えられたかどうかです。線1から線3は、どれもプログラミングを前提にしていません。
Q. 資格や検定を取ったほうが有利ですか
書類の見た目は整いますが、優先順位は後ろです。利用率が55%を超えている状況では、「知っている」ことより「業務でどう使ったか」のほうが差になります。資格を取る時間があるなら、いまの業務で線1を越える実例を1つ作るほうが効きます。
Q. 線1も越えていません。どう書けばいいですか
書かないという選択で構いません。無理に書くと面接で掘られて弱点になります。それより、いまの業務で測れる作業を1つ選んで、所要時間を記録してから手順を変えてみてください。1か月あれば数字が出ます。


