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指数は下がった。
判断は「改善」のまま。

景気と採用は
どう連動する?
求人数の推移から
読む転職の波

ニュースの1行で
判断を変えないために。

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NextCareer編集部

20代・第二新卒の転職情報を取材・執筆

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「景気が悪くなる前に転職したほうがいい」と言われることがあります。逆に「景気がいいうちに動け」とも言われます。どちらも同じくらいの確信をもって語られていて、聞いた側は余計に迷います。

この手の話が噛み合わないのは、景気と採用のあいだに時間のずれがあるからです。景気が動いてから求人に出るまでに間があり、さらに産業によってその間隔が違います。

この記事では、公表されている指標を使ってその構造を見ていきます。ニュースの見出しで判断を変えないための読み方です。

目次
  1. 指数は下がったのに、判断は「改善」のまま
  2. 3つの指数は、違う時間を見ている
  3. 景気が採用に届くまでには時間がかかる
  4. 産業によって波の大きさが違う
  5. 波のどこにいるかを確かめる3つの数字
  6. 下げ局面で20代が取る戦略
  7. よくある質問

指数は下がったのに、判断は「改善」のまま

内閣府が毎月出している景気動向指数から見ます。生産や雇用など複数の指標を合成した数字です。

景気動向指数(CI一致指数)

118.7

前月から1.9ポイント下降。6か月ぶりの下降。基調判断は「改善」で据え置き。

出典:内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数(令和8年8月分速報)」2026年10月7日公表。2020年=100。先行指数118.0、遅行指数112.1。

一致指数が1.9ポイント下がりました。6か月ぶりの下降です。見出しだけなら「景気が悪化」と書けます。

それでも内閣府の基調判断は「改善」のままでした。理由は、判断に単月の数字を使っていないからです。3か月の移動平均で見ると0.13ポイントの上昇で、こちらは8か月連続のプラスになっています。

ここが最初のポイントです。単月で大きく動いても、それだけでは局面が変わったとは判断されない。転職の判断を1か月の数字で変える必要はありません。

3つの指数は、違う時間を見ている

景気動向指数には3つの種類があります。それぞれ見ている時間が違います。

指数最新値前月差見ている時間
先行指数118.0+0.4数か月先
一致指数118.7−1.9いま
遅行指数112.1−0.9半年ほど前

出典:内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数(令和8年8月分速報)」2026年10月7日公表。2020年=100。先行指数は2か月連続の上昇、遅行指数は3か月ぶりの下降。

先行指数は上がっていて、一致指数は下がっている。一見矛盾しますが、見ている時間が違うので同時に起こりえます。

転職を考えるときに重要なのは、雇用の数字は遅行指数に入っていることです。有効求人倍率や失業率は、景気が動いたあとに動きます。

つまり、求人の数字を見て「まだ大丈夫」と判断するのは、半年前の状況を見て判断していることになります。逆に、求人が減りはじめたときには、景気の変化はすでに起きている。

景気が採用に届くまでには時間がかかる

なぜ雇用が遅れるのか。会社の意思決定の順番を追うと分かります。

  1. 1受注や売上が変わる

    最初に動くのはここです。注文が増える、または減る。

  2. 2残業で調整する

    忙しくなっても、すぐに人を増やしません。まず既存の人員の残業で吸収します。減ったときも、残業を削るのが先です。

  3. 3採用の計画を見直す

    残業で吸収できない状態が続いてから、人員計画の話になります。ここで数か月かかります。

  4. 4求人が出る、または止まる

    計画が決まってから募集になります。1から4まで、半年前後かかるのが普通です。

毎月勤労統計で所定外給与、つまり残業代の動きを見ると、2026年8月は前年同月比5.2%増でした。所定内給与の3.8%増より伸びが大きい。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年8月分結果速報」2026年10月7日公表。事業所規模5人以上、就業形態計。所定外給与は20,497円。

残業が増えているということは、まだ段階2にいる会社が多いということです。人を増やす判断の前段階にあたります。ここから求人が増えるのか、受注が落ちて残業から削られるのかは、この数字だけでは決まりません。

産業によって波の大きさが違う

景気の影響をどれくらい受けるかは、産業によってかなり違います。厚生労働省の雇用動向調査で、人の出入りの多さを見てみます。

宿泊業・飲食サービス業の入職率と離職率
宿泊業・飲食サービス業の一般労働者の入職率は21.2%、離職率は18.1%。 入職率:21.2% 21.2% 入職率 離職率:18.1% 18.1% 離職率

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」表4-2(産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率)。一般労働者。入職率はサービス業(他に分類されないもの)が19.4%、離職率は同19.0%。

宿泊業・飲食サービス業は入職率21.2%、離職率18.1%。1年で5人に1人が入り、同じくらいの人が出ていきます。サービス業(他に分類されないもの)も入職率19.4%、離職率19.0%と近い水準です。

出入りの激しい産業は、景気の変化が採用に出るのが早い分野です。悪くなれば先に募集が止まり、よくなれば先に募集が増えます。波の振れ幅が大きいということです。

逆に、出入りの少ない産業では、景気が変わっても採用の数が大きく動きません。入口が狭いので、よい局面でも急に増えない。この違いを知っておくと、「いま求人が多いか少ないか」の意味が産業ごとに変わることが分かります。

波のどこにいるかを確かめる3つの数字

毎月出ている数字のうち、転職の判断に使えるものを3つに絞ります。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」2026年8月28日公表、内閣府「景気動向指数(令和8年8月分速報)」2026年10月7日公表。

この3つを3か月ごとに見れば十分です。毎月追う必要はありません。

いまの組み合わせを読むと、先行指数は上向き、求人の総量は横ばいから微減、正社員での競争は1対1。急激に悪化する兆しはないが、求人が増え続ける前提でもない、という状態です。

この局面では、「準備が整うまで待つ」という方針のコストが少し上がります。待っても選択肢が増えないなら、情報収集だけは先に始めておくほうが損が小さくなります。

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下げ局面で20代が取る戦略

将来どうなるかは分かりませんが、求人が減る局面で何が起きるかは分かっています。

起きること 1

未経験枠が先に閉まる

教える余裕がなくなるため、未経験の募集から減ります。職種を変えたい人にとっては、動くのが難しくなる局面です。逆に、同じ職種での移動は比較的影響が小さい。

起きること 2

選考の基準が上がるのではなく、枠が減る

求める人物像が変わるというより、採用人数そのものが絞られます。同じ経歴でも通らなくなるのはこのためです。実力が足りなかったという受け取り方をしなくていい部分です。

起きること 3

決まるまでの期間が延びる

応募から内定までが長くなります。在職中に進めるなら影響は小さいですが、先に辞めてから探す場合は想定より時間がかかります。

3つを踏まえると、下げ局面での現実的な動き方は決まってきます。職種を変えるなら早めに、同じ職種なら焦らず、そして辞めてから探す形は避ける。この3点です。

よくある質問

Q. 景気動向指数は、どこで見られますか

内閣府経済社会総合研究所のサイトで毎月公表されています。速報は翌々月の上旬に出ます。見るのは基調判断の1行と、先行指数の前月差だけで足ります。指数の水準そのものは、月ごとに追う意味が薄いです。

Q. ニュースで「景気が後退」と出ていました。転職はやめるべきですか

基調判断が変わったのかどうかを確認してください。単月で指数が下がっただけなら、判断は変わっていない可能性があります。今回のケースでも一致指数は1.9ポイント下がりましたが、判断は「改善」のままでした。

Q. 不況のときは転職しないほうがいいのでしょうか

同じ職種・同じ産業での移動なら、影響は比較的小さくなります。難しくなるのは未経験分野への移動です。また、不況期にとどまった場合、昇給も止まりやすいので、待つことが有利とも言い切れません。

Q. 自分の業界の採用状況だけ知る方法はありますか

一般職業紹介状況には職業別・都道府県別の統計表も付いています。ただ、ハローワークの求人が対象なので、業界によっては実態とずれます。自分の業界の増減を知りたい場合は、その分野の求人を扱っているところに直接聞くほうが精度が高くなります。

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