
書くことがないのではなく、
取り出し方を知らないだけ。
自己PRが
書けない20代へ
経験1〜3年でも
使える棚卸しの手順
まず1週間を書き出すところから
始めます。
自己PRの欄で手が止まる。「主体性があります」と書いてみたものの、その後に続く具体例が出てこない。経験1〜3年だと、だいたいここで止まります。
ただ、本当に書くことがない人はほとんどいません。毎日やっていることが、材料だと認識されていないだけです。
この記事では、文章を書く前の「材料を取り出す作業」を3段階に分けて説明します。書き方の型は最後に少し触れますが、主役は棚卸しのほうです。
目次
経験1〜3年で動く人は、例外ではない
まず前提の確認から。経験が浅いうちに転職を考えるのは、少数派の動きではありません。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」2025年10月公表。就職後3年以内の離職率。
大学卒で33.8%、高校卒で37.9%。3人に1人以上が3年以内に辞めています。
採用する側もこの数字を知っています。経験1〜3年の応募が来ることは想定されていて、その層に即戦力を期待しているわけではありません。短い経験のなかで何を任され、どう動いたかのほうを見ています。
だから、書くべき内容も「大きな成果」ではありません。規模の小さい話で構いません。
「書くことがない」の正体
相談を聞いていると、止まり方には3つのパターンがあります。
パターン 1
成果が出た仕事だけを探している
売上を伸ばした、表彰された、といった話を探すと、1〜3年ではまず見つかりません。探す対象が間違っています。評価されるのは成果ではなく、担当範囲と動き方です。
パターン 2
自分の仕事を「普通のこと」として数えていない
毎日やっている作業は、本人のなかで当たり前になります。請求書の処理、問い合わせの一次対応、在庫の確認。これは外から見れば担当業務です。本人が材料として数えていないだけです。
パターン 3
先に形容詞から入っている
「主体性」「責任感」「コミュニケーション能力」から書き始めると、そこに当てはまる場面を探す作業になります。逆です。場面を集めてから、それが何と呼べるかを後で決めます。
3つのうち、いちばん多いのはパターン2です。ここが外れると、材料は急に増えます。
手順1:直近1週間を、作業単位で書き出す
過去数年を振り返るのではなく、直近1週間だけを思い出します。範囲が狭いほうが具体的に出ます。
書き方は、1行に1作業。評価も感想も入れず、やったことだけを並べます。
- 月曜:前週の受注データをまとめて部内に共有した
- 月曜:新規の問い合わせ4件に返信した
- 火曜:見積書を3件作って上司に確認してもらった
- 水曜:既存のお客さま2社に訪問、1社は来月の発注量を確認
- 木曜:後輩に受注入力の手順を説明した
- 金曜:在庫の差異を調べて原因を倉庫に確認した
これで20行から30行は出ます。1週間で足りなければ、繁忙期の1週間と閑散期の1週間の2本を書くと、仕事の幅が見えます。
ここで重要なのは、順番です。先に型を決めてから材料を探すと「型に合う話」しか出てきません。材料を全部出してから選ぶほうが、強い話が残ります。
手順2:書き出した作業に、数字を足す
次に、各行に数字を足していきます。足せるのは、だいたいこの4種類です。
| 種類 | 例 | 伝わること |
|---|---|---|
| 件数・回数 | 月40件、週4社 | 処理量 |
| 金額 | 1件50万円、年間3000万円 | 扱う責任の大きさ |
| 人数 | 後輩2人、部内8人 | 関わる範囲 |
| 期間・時間 | 1年半、1件30分 | 習熟と改善の度合い |
正確な数字が分からない場合は、概数で構いません。「月40件くらい」で十分です。1件もないところだけ空欄にします。
この作業をやると、自分の担当範囲が初めて金額として見えてきます。「年間3000万円ぶんの受注入力を任されていた」は、本人が思っているより重い情報です。
なお、経験年数そのものにも値段がついています。賃金構造基本統計調査で見ると、勤続0年の27.5万円に対して3〜4年は29.7万円。短い経験でも、積んだ分は水準に反映されています。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年 賃金構造基本統計調査の概況」第7表。一般労働者・男女計・企業規模計の所定内給与額。
手順3:任され方で並べ替える
最後に、書き出した行を4つの段に分けます。上に行くほど、選考で効きます。
-
段 4自分で決めていた
手順や発注先、優先順位を自分の判断で決めていた作業。1〜3年でもここに入る行は必ずあります。「どの在庫から確認するか自分で決めていた」でも成立します。
-
段 3自分で直した・作った
既存のやり方を変えた、手順書を作った、テンプレートを用意した。規模は問いません。30分かかっていた作業を10分にした話は、ここに入ります。
-
段 2人に教えた・巻き込んだ
後輩への説明、他部署への確認、社外とのやりとり。1人で完結しない仕事は、それ自体が評価の材料になります。
-
段 1言われたとおりにやった
ここが大半を占めるのは当たり前です。ただし自己PRには使いにくいので、職務経歴書の業務内容のほうに回します。
段4と段3に入った行が、自己PRの中身になります。2行あれば書けます。3行あれば十分です。
段1しか残らなかった場合は、仕事の内容ではなく任され方の問題です。その場合は「次の職場で何を任されたいか」を軸にしたほうが話が通ります。
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材料を文にするときの型
材料がそろえば、文章は組み立てるだけです。順番はこれで足ります。
- 担当していたこと(数字つき)
- そのなかで自分が決めていた部分
- 決めた結果どうなったか
- それを次でどう使うか
例として、さきほどの材料から1本作ります。
「法人向けの受注業務を1年半担当し、月40件ほど、年間で3000万円ぶんの受注を処理していました。入力の手順に属人的な部分があったため、確認の順番を自分で決めてテンプレートにまとめ、1件あたり30分かかっていた処理を20分に短縮しました。後輩2人にも同じ手順で引き継いでいます。次の職場でも、手順が固まっていない業務を整える役割を担いたいと考えています。」
特別な成果はありません。1〜3年で出る話はこの程度の規模です。それでも、担当範囲と判断した部分がはっきりしていれば読み手には届きます。
形容詞は入っていませんが、読めば主体性の話として伝わります。先に形容詞を置かないほうが、かえって伝わるのはこのためです。
職務経歴書の業務内容欄と自己PRで、同じ材料を使い回しても問題ありません。業務内容欄には段1と段2を時系列で並べ、自己PRには段4と段3から1つ選んで深く書く。この書き分けにしておくと、2つの欄が重複せず、読み手は担当範囲と判断した部分の両方を把握できます。
書き終えたら、1文ずつ「これは事実か、評価か」を確認してください。評価の文が多いほど、面接で掘られたときに答えが続かなくなります。事実の文が7割を超えていれば、だいたい問題ありません。
よくある質問
Q. 1年未満です。1週間書き出しても量が出ません
研修期間に覚えたことも作業として数えてください。使えるようになったツール、覚えた手順、理解した商材。1年未満で評価されるのは成果ではなく、覚える速さと任せられる範囲の広がり方です。そこを時系列で書くほうが実際に近くなります。
Q. 事務職で、数字が足せる作業がありません
件数と人数はほぼ必ず足せます。処理した書類の枚数、対応した部署の数、問い合わせの件数。金額が出ないだけで、量は出ます。金額が出ない職種は多いので、そこは必須ではありません。
Q. 段4(自分で決めていた)に入る行が1つもありません
決める範囲を小さく取り直してみてください。作業の順番、確認する相手、いつやるか。この粒度なら入る行が出てきます。それでも出ない場合、裁量がほぼない職場ということになるので、その事実自体が転職の理由として成立します。
Q. 棚卸しした材料を、誰かに見てもらったほうがいいですか
そのほうが早いです。どの行が評価されるかは応募先によって変わるので、求人を扱っている側に材料を渡して選んでもらうのがいちばん手戻りが少なくなります。完成した自己PRを持ち込むより、箇条書きのまま持ち込んだほうが直しやすいです。



