
20代後半で27.9万円。
前半から15%増。
20代営業の
年収は
何で決まるのか
提示額の内訳を分解すると、
比べられるようになります。
営業職の年収の話は、他の職種より噛み合わないことが多いです。同じ会社の同じ年次でも金額が違うからで、「営業の年収は◯◯万円」という平均が実感と合わないことがよく起きます。
理由は給与の構成にあります。固定給だけの職種と違い、成果に応じた部分が乗るので、同じ求人から入っても着地が分かれます。
この記事では、まず20代全体の賃金がどう動くかを公的データで確認して、そのうえで営業特有の部分をどう読むかを整理します。
20代の賃金は5年で15%動く
厚生労働省が毎年出している賃金構造基本統計調査で、年齢階級別の賃金を見ます。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第2表(性、年齢階級別賃金)。男女計の所定内給与額で、20〜24歳242.8千円、25〜29歳279.4千円、30〜34歳312.3千円。全職種の平均で、営業職だけの数字ではありません。
20代前半から後半にかけて、月額で3万6千円ほど上がっています。20〜24歳を100とすると25〜29歳は115.1です。
30代前半まで入れると128.6。20代のうちに賃金が動く幅がいちばん大きい区間だと分かります。
前年からの伸びも見ておくと、20〜24歳で4.4%、25〜29歳で4.6%、30〜34歳で4.3%でした。年齢を重ねたぶんだけでなく、市場全体が底上げされている時期にあたります。
自分の昇給がこの伸びより遅いなら、同じ会社にいるあいだに市場との差が開いていくことになります。社内の評価が悪いわけではなくても、こういう形で差はつきます。
この数字に入っていないもの
ここで注意が必要です。この調査の「賃金」は所定内給与額で、次のものは含まれていません。
- 賞与・ボーナス
- 残業代などの超過労働給与
- 成果に応じて支給されるインセンティブのうち、毎月決まって払われない部分
営業職の年収を考えるとき、この除外分が効いてきます。固定給が同じでも、歩合の有無で年収は変わるからです。
逆に言うと、上のグラフは固定部分だけを揃えて比べた数字として使えます。求人票の「月給」と並べるには、むしろ都合がいい。
営業職だけを抜き出した年齢階級別の賃金は、毎年の概況資料には載っていません。確認するなら職種別の統計表を個別に見る必要があります。この記事では全職種の平均を土台として使い、営業特有の部分は後半で分けて扱います。
転職で賃金が増えた人の割合は20代が最も高い
もう一つ、雇用動向調査という統計があります。転職した人の賃金が前職と比べてどう変わったかを集計したものです。
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表6(転職入職者の賃金変動状況別割合)。20〜24歳は増加55.2%・減少17.5%、25〜29歳は増加49.8%・減少23.9%、計は増加40.8%・減少31.0%。
20代前半で55.2%、後半で49.8%。全年齢の40.8%を上回っています。下がった人の割合も、20代前半は17.5%で全年齢の31.0%より小さい。
さらに細かく見ると、20〜24歳では1割以上増えた人が44.2%います。25〜29歳では34.2%。増えた人の多くが、小幅ではなく2桁の伸びを得ている計算になります。
ここは誤解されやすいところなので補足します。これは「転職すれば上がる」という意味ではありません。もとの賃金が低い時期ほど上がり幅が出やすい、という読み方のほうが正確です。年齢が上がるにつれて増加の割合は下がり、50代では減少のほうが多くなります。
同じ20代でも企業規模で差がつく
同じ年齢でも、勤め先の規模で賃金は変わります。25〜29歳の数字を規模別に並べます。
43.5千円
大企業301.7千円と小企業258.2千円の差。中企業は270.6千円。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第4表(企業規模、性、年齢階級別賃金)。男女計・所定内給与額。大企業は常用労働者1,000人以上、中企業は100〜999人、小企業は10〜99人。
月額で4万3千円の差があります。同じ20代後半、同じ所定内給与での比較です。
営業職はほとんどの規模の会社に存在するので、職種を変えずに規模だけ変えるという選択が成り立ちます。扱う商材や顧客の層は変わりますが、職種を変える転職より経験を説明しやすいのは利点です。
ただし規模が大きいほど良いという話でもありません。大企業は担当範囲が細かく分かれることが多く、小さい会社のほうが提案から契約まで通して経験できる場合があります。次の転職で説明できる材料がどちらで増えるかは、分けて考えたほうがいいところです。
提示額を分解する手順
ここまでが市場の数字です。最後に、個別の求人をどう読むかを整理します。営業職で比較を間違えないための手順です。
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1モデル年収ではなく固定給を見る
求人票の年収欄は、歩合を含んだ想定額で書かれていることがあります。まず固定部分がいくらかを確認します。ここが生活の土台になる金額です。
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2みなし残業の有無と時間を確認する
固定給に一定時間分の残業代が含まれている場合、実際の時給換算は下がります。何時間分が含まれているかまで見ます。
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3歩合が発生する条件を聞く
契約件数なのか、売上なのか、粗利なのか。支給までの期間はどのくらいか。条件が分からないまま金額だけ比べても、意味のある比較になりません。
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41年目の実績値を聞く
モデル年収は上位の人の数字であることがあります。中途入社1年目の人が実際いくらだったかを聞けると、現実的な見込みが立ちます。
1番と4番が揃えば、提示額を他社と同じ土俵に乗せられます。営業職は金額の見え方の幅が大きいぶん、この分解をするかどうかで比較の精度が変わります。
営業職の年収水準を聞けるサービス
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提示額の内訳や1年目の実績は、求人票だけでは分かりません。求人を扱っている側が過去の事例を持っています。
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よくある質問
Q. 営業の平均年収はいくらですか
営業職だけを抜き出した年齢階級別の平均は、毎年公表される概況資料には含まれていません。全職種の平均で見ると、20代後半の所定内給与額は27.9万円です。営業は歩合の有無で分布が広がるため、平均値だけで判断すると実態とずれやすい職種でもあります。
Q. インセンティブが多い会社を選ぶべきですか
固定給が生活に足りているかを先に確認してください。歩合の比率が高い設計は、成果が出れば伸びますが、立ち上がりの数か月は想定より少なくなります。入社直後の数か月をどう過ごせるかで判断が変わります。
Q. 20代のうちに転職したほうが年収は上がりますか
雇用動向調査では、賃金が増えた人の割合は20代前半55.2%、後半49.8%で、年齢が上がるほど下がります。ただし全体の4割前後は増えておらず、20代でも下がった人が17〜24%います。年齢だけで決まる話ではありません。
Q. 月給の数字だけで会社を比べていいですか
足りません。この記事で使った賃金は所定内給与額なので、賞与・残業代・歩合が入っていません。比べるときは、固定給の月額を12か月分にして、そこに賞与の実績月数と歩合の見込みを足した形で並べると、会社ごとの差が見えるようになります。賞与は「◯か月分」と規程に書かれていても業績で変わるため、直近3年の支給実績を聞くほうが確実です。
Q. 社内で昇給を待つのと転職、どちらが早いですか
比べる材料は、自分の昇給率と市場の伸びです。20代の賃金は前年比4%台で動いています。社内の昇給がこれを下回っている状態が続くなら、待っているあいだに差は開きます。まず自分の昇給率を調べてから比べてください。


