
営業は2.05倍。
一般事務は0.29倍。
営業の求人は
なぜ多いのか
倍率2.05倍の中身
入りやすさには理由があります。
その理由まで見ておきます。
転職先を考えるとき、職種を先に決める人と、業界を先に決める人がいます。20代だと前者のほうが多い印象です。そして候補に挙がりやすいのが営業職です。
理由ははっきりしていて、求人の数が多いからです。求人サイトを開いても、エージェントに相談しても、まず出てくる。
ただ「多い」で終わらせると判断材料になりません。どのくらい多いのか、なぜ多いのか、その多さは何を意味するのか。公表されている数字で順に見ていきます。
目次
営業の有効求人倍率は2.05倍
ハローワークの求人・求職は、職業の分類ごとに毎月集計されています。営業職は「営業職業従事者」という区分です。
最新の数字を、職業全体と事務職と並べます。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表、全国計・常用(パート含む)。営業職業従事者は有効求人72,132件に対し有効求職35,167人。職業計は有効求人2,028,673件に対し有効求職1,914,602人。
営業は2.05倍。求職者1人あたり求人が約2件ある状態です。職業全体の1.06倍と比べると、倍近くあります。
反対側にあるのが一般事務の0.29倍です。求人1件に対して求職者が3人以上いる計算になります。同じ「未経験から入りやすそう」というイメージで語られがちな2つですが、数の上では正反対に位置しています。
※この統計はハローワークに登録された求人・求職だけを集計したものです。転職サービス経由の求人は含まれないので、市場全体の一部を切り取った数字になります。
新規求人倍率3.29倍が示すもの
同じ資料には、その月に新しく出た求人だけを集計した新規求人倍率も載っています。営業は3.29倍でした。職業全体は1.98倍です。
有効求人倍率が「いま残っている求人」を含むのに対して、新規求人倍率は「今月新しく出た分」です。新規のほうが高く出るのは全職種に共通しますが、営業はその差も大きいほうに入ります。
新しい求人が毎月まとまって出ているということは、募集の回転が速いということでもあります。これは応募する側にとって、良い面と注意する面の両方があります。
良い面は、タイミングを逃しても次がある点です。希望の条件に合う求人が今月なくても、来月また出てくる可能性が他の職種より高い。
注意する面は後で触れます。先に、なぜこれだけ求人が出るのかを整理します。
なぜ営業の求人は多いのか
求人が出る理由は大きく2つに分かれます。事業が伸びて人を増やす場合と、辞めた人の穴を埋める場合です。公表統計からはこの内訳までは分かりませんが、営業職で求人が多い構造にはいくつか説明がつきます。
- 売上に直接つながる職種なので、業績の見通しが立つと真っ先に増員される
- ほとんどの業界に存在するため、特定の業界が落ち込んでも全体の求人数が減りにくい
- 資格や専門教育が必須ではないので、採用の間口を広く取れる
- 成果が数字で見えるぶん、合う合わないがはっきりして人の入れ替わりも起きやすい
4つ目が、倍率の高さを素直に喜べない部分です。求人が多い職種は、人が出ていく量も多いことが珍しくありません。
ここを確かめるには、求人そのものではなくその会社の定着を見る必要があります。全国の倍率は、個別の会社がどうかまでは教えてくれません。
ただし求人は前年より減っている
倍率の高さだけ見ていると見落とす点があります。同じ資料の前年同月比です。
-9.2%
新規求人の前年同月比。有効求人は-6.3%、有効求人倍率は前年同月から0.06ポイント低下。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表、全国計・常用(含パート)の対前年同月比。職業計の新規求人は-4.1%、有効求人は-1.5%。
営業の新規求人は前年同月より9.2%減りました。職業全体の減り方(-4.1%)より大きい。有効求人も6.3%の減少です。
倍率が2倍を超えているので、いますぐ求人が足りなくなる話ではありません。ただ、増え続けている局面ではないことは押さえておきたいところです。
これは判断の速度に効きます。「もう少し準備してから」と半年置いた場合、戻ってきたときの選択肢が今より増えている保証はありません。準備が必要なら、期限を決めてから準備したほうが安全です。
名前が似た職業と混ざりやすい
統計の分類には、営業と名前が似ていて中身が違う区分があります。求人を探すときに取り違えやすいので、並べておきます。
- 営業職業従事者 2.05倍(顧客を訪問して契約を取る仕事)
- 営業・販売事務従事者 0.88倍(受注処理や見積作成など、営業を支える内勤)
- 商品販売従事者 1.72倍(店頭での販売)
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表、全国計・常用(パート含む)。販売従事者の大分類は1.85倍。
営業と営業事務は、名前は1語違いですが倍率は2倍以上ひらきます。営業事務は0.88倍なので、求人より求職者のほうが多い状態です。
外回りを避けたくて営業事務を選ぶ人は多いのですが、入り口の広さは営業職とは別物だと知っておいたほうがいいところです。求人サイトで「営業」と検索すると両方が混ざって出てくるので、職種名だけで判断すると競争の度合いを読み違えます。
店頭での販売(商品販売従事者)も1.72倍あり、営業ほどではないものの入り口は広いほうです。接客の経験を活かすなら、こちらも選択肢に入ります。
求人票で確かめる4つのこと
全国の倍率が2.05倍でも、応募するのは1社です。入り口が広い職種だからこそ、個別の求人で見ておく点があります。
-
1何を売るのかが書いてあるか
「法人向けサービス」だけで終わっている求人は、仕事の中身が想像できません。扱う商材と顧客が具体的に書かれているほど、入社後のギャップは小さくなります。
-
2新規開拓と既存対応の比率
同じ営業職でも、ゼロから客を探す仕事と、すでに取引のある会社を回る仕事では日々の中身が違います。比率が書いていなければ、面接で聞く項目に入れておきます。
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3固定給と歩合の内訳
提示額に歩合が含まれている場合、実績が出るまでの数か月は想定より手取りが少なくなります。モデル年収ではなく、固定部分がいくらかを確認します。
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4同じ会社の求人が何度も出ていないか
同一ポジションの募集を繰り返し見かける場合、増員なのか入れ替わりなのかを聞いてみる価値があります。増員なら事業の状況を、入れ替わりなら前任者の退職理由を確かめられます。
4つのうち、3番目がいちばん金額に直結します。営業は給与の決まり方が職種ごとの標準より複雑になりやすいので、提示された数字がどういう構成かを分解しておくと、入社後に揉めません。
営業職の求人を扱っているサービス
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公表される倍率は市場全体の平均です。どの会社がいま何人採っているかは、求人を扱っている側が具体的に把握しています。
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よくある質問
Q. 倍率2.05倍なら未経験でも受かりますか
倍率は求人数と求職者数の比で、採用のしやすさそのものではありません。1人の求職者が複数の求人に応募できるので、実際の競争率とは別物です。ただ、応募できる求人の母数が多いことは確かなので、経験で弾かれにくい職種ではあります。
Q. 事務職が0.29倍なら、事務は諦めたほうがいいですか
狭いのは事実ですが、ゼロではありません。ハローワーク経由に限った数字でもあります。ただ、同じ未経験可の求人を探すなら、母数の差は7倍近くあると理解したうえで選択肢を組んだほうが現実的です。
Q. 営業は離職率が高いと聞きますが本当ですか
職種別の離職率は公表統計で細かく出ていないため、全国の数字で断定はできません。ただ求人の回転が速いことは統計から読み取れます。気になるなら、応募先ごとに在籍年数の分布を聞くのが確実です。
Q. 求人が減っているなら待ったほうがいいですか
減少はしていますが、倍率は2倍を超えたままです。待つことで条件が良くなる根拠は、いまの数字からは出てきません。準備が必要な場合を除けば、情報収集だけ先に始めておくほうが選択肢を減らさずに済みます。



