
求人が多いことと、
年収が上がることは別。
建設業の20代、
年収は上がるのか
|求人データと
資格の効き方
入りやすさだけで決めると、
3年後に動けなくなります。
建設業の求人を見ていると、未経験歓迎の文字がよく目に入ります。人が足りていないという話も、ニュースでたびたび流れます。実際に応募すれば通りやすい、という感触を持っている方は多いと思います。
ただ、求人の数と、入ってから給与が上がるかどうかは別の話です。採用されやすい理由と、年収が上がる理由は同じではありません。この2つを混ぜたまま決めてしまうと、入った直後は良くても、数年後に身動きが取れなくなることがあります。
公表されている求人データと、2024年度から変わった資格の受検ルールを並べて、20代が先に確認しておきたい点を整理しました。
目次
求人倍率は1.18倍、ただし正社員は1.00倍
厚生労働省が毎月出している求人の統計があります。ハローワークに出された求人と求職者の数を比べたもので、1倍を超えていれば求職者より求人が多いという意味になります。
2026年8月分では、全体の有効求人倍率が1.18倍でした。求職者1人あたり1.18件の求人がある状態です。一方で、正社員だけに絞った有効求人倍率は1.00倍。ちょうど1人に1件です。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」。全国の有効求人倍率と正社員有効求人倍率は季節調整値。福井県・大阪府は就業地別の有効求人倍率で、同月の最高値と最低値。
同じ月の新規求人倍率は2.06倍でした。新しく出てくる求人だけを見ると数字が大きく見える、という構造になっています。求人票の数が多いことと、腰を据えて働ける枠が多いことは、別々に数えたほうが実態に近づきます。
地域差もはっきり出ています。就業地別では福井県の1.72倍が最も高く、大阪府の0.95倍が最も低い。全国の数字だけを見て判断すると、自分が応募する地域の状況とずれます。
入りやすさは、定着のしにくさと裏表になっている
求人倍率が高い分野は、応募する側から見れば入りやすい分野です。ただ、なぜ求人が出続けているのかを考えると、二つの可能性があります。事業が伸びて人を増やしているのか、人が辞めた分を埋め続けているのか。求人の数だけでは、どちらなのか分かりません。
建設の現場職は、工期に合わせて働く時間が動きます。天候で予定がずれることもあります。この働き方が生活と噛み合うかどうかは、給与の水準とは別に確認が必要な部分です。
転職の相談を受けていて困るのが、ここを聞かずに決めてしまったケースです。給与は求人票どおりだったけれど、休みの取り方が想像と違っていた。そうなると、年収が上がったかどうかとは関係なく続かなくなります。
同じ会社の求人が何年も出ているなら、その理由を面接で聞いていい話です。増員なのか、欠員の補充なのか。答え方そのものが判断材料になります。
建設業の年収を決めているのは経験年数ではない
建設業で給与が上がる道筋は、だいたい次の三つに分かれます。
- 資格を取って、できる仕事の範囲が広がる
- 現場をまとめる側に回り、扱う工事の規模が大きくなる
- 専門の工種に絞って、その分野で指名される人になる
どれも、年数を重ねれば自動的に進むものではありません。特に一つ目の資格は、建設業では給与や任される範囲に直接つながります。工事の種類や規模によって、資格を持つ人を現場に置かなければならない決まりがあるためです。会社から見れば、資格を持っている人は配置できる現場が増える人になります。
逆に言えば、資格を取らずに現場経験だけを積んでいくと、ある時点から給与が伸びにくくなります。経験が足りないのではなく、任せられる範囲が制度上そこで止まるからです。20代のうちにこの構造を知っているかどうかで、30代の選択肢がかなり変わります。
2024年度に、資格の入り口が20代向けに変わった
建設業の代表的な国家資格が、施工管理技士です。土木、建築、電気工事など工種ごとに分かれていて、それぞれ1級と2級があります。
この検定の受検資格が、2024年度(令和6年度)から変わりました。国土交通省が令和6年4月1日施行で見直したもので、1級の第一次検定は、受検年度末時点で19歳以上であれば学歴や実務経験の年数を問わず受けられるようになりました。2級の第一次検定は17歳以上で、こちらは従前から変わっていません。
以前は、1級を受けるまでに一定の実務経験を積む必要がありました。順番が決まっていたので、若いうちは2級から取るのが普通でした。それが、知識を問う一次試験については先に受けられるようになったということです。
第二次検定のほうは実務経験が必要なままです。1級の場合、第一次検定に合格した後に5年以上の実務経験、特定実務経験を1年以上含む場合は3年以上、監理技術者補佐としての経験なら1年以上、という形で条件が分かれています。
- 1級 第一次検定/受検年度末時点で19歳以上。学歴・実務経験年数は不問
- 2級 第一次検定/17歳以上。従前から変更なし
- 第二次検定/第一次検定の合格後に実務経験が必要。経験の内容によって必要年数が変わる
- 経過措置/令和6年度から令和10年度までは、新旧どちらの受検資格でも第二次検定を受けられる
出典:国土交通省「技術検定の受検資格の見直し」(令和6年4月1日施行)、一般財団法人全国建設研修センター「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」。
20代にとって意味があるのは、順番を先に進められるようになった点です。一次試験の勉強は働きながらでもできます。先に受かっておけば、実務経験が条件を満たした時点で二次に進めます。入社してから資格を考え始める人と、入る前から一次の準備をしている人では、数年で差が開きます。
なお、経過措置の期間中は旧制度の受検資格も使えます。すでに実務経験を積んでいる方は、どちらの条件で受けるのが早いかを見比べる余地があります。
20代が今から動くなら、この順番
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順番 1工種を決める
土木、建築、電気、管。施工管理技士は工種ごとに別の資格です。どれを取るかで配属される現場が変わるので、ここを曖昧にしたまま応募すると後から動かしにくくなります。
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順番 2応募する地域の数字を見る
全国で1.18倍でも、地域によって1.72倍から0.95倍まで開きがあります。通える範囲の求人がどれくらいあるかで、選べる会社の数が決まります。
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順番 3資格の支援があるかを確認する
受検費用の負担、試験前の休みの取りやすさ、合格後の手当。制度として書かれているか、運用でなんとなくやっているかを聞き分けます。建設業では、ここが数年後の給与に直結します。
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順番 4働き方を具体的に聞く
現場の始業時間、移動の扱い、週休の実績。求人票の記載ではなく、直近の実績として聞きます。答えが曖昧な場合は、その曖昧さ自体が情報です。
この順番で進めると、給与の提示額だけで比べなくなります。建設業は、入った時点の金額より、資格と任される現場で後から差がつく業界です。
求人票で先に確かめておきたい5つ
建設業の求人は、同じ職種名でも中身が大きく違います。応募前に次の5点を見ておくと、入った後のずれが減ります。
- 担当する工事の種類と規模が書かれているか(住宅か、公共工事か、改修か)
- 現場が固定か、複数の現場を移動するか
- 資格取得の支援が制度として明記されているか
- 給与に含まれる手当の内訳(資格手当、現場手当、固定残業代の有無)
- 直近の週休の実績が示されているか
四つ目の手当の内訳は特に見てほしい部分です。提示額に固定残業代が多く含まれていると、基本給の水準が思ったより低いことがあります。資格を取ったときに何が増えるのかも、内訳が分からないと判断できません。
書かれていない項目は、面接で聞く候補として控えておきます。全部を一度に聞く必要はありません。自分が優先する2つか3つに絞れば、会話として自然に収まります。
よくある質問
Q. 未経験で建設業に入っても、年収は上がりますか
上がる道筋はありますが、年数だけでは進みません。資格を取るか、現場をまとめる側に回るか。このどちらかに乗れているかで分かれます。入社前に、資格取得の支援が制度としてあるかを確認しておくと、入ってから動きやすくなります。
Q. 2級と1級、どちらから目指すべきですか
2024年度から1級の第一次検定が19歳以上で受けられるようになったので、順番の自由度は上がりました。ただ第二次検定には第一次合格後の実務経験が必要なので、実務を積みながら一次を先に取っておく形が現実的です。どちらを先にするかは、今の経験年数と勤務先の支援内容で変わります。
Q. 求人が多い今のうちに入ったほうが有利ですか
求人の多さは、採用されやすさの話です。入った後に上がるかどうかは、会社が資格や役職をどう評価しているかで決まります。急いで決めるより、支援制度と手当の内訳を確認してから選んだほうが、結果として早く上がります。
Q. 現場職と施工管理、どちらを選べばいいですか
体を使う仕事を続けたいか、現場を動かす側に回りたいかで分かれます。施工管理は資格が給与に直結しやすい一方、工程や書類の管理が仕事の中心になります。どちらが向いているかは、1日の流れを具体的に聞いてみると判断しやすくなります。
Q. 資格の勉強は働きながらでも間に合いますか
第一次検定は知識を問う試験なので、働きながら準備する人が多い部分です。試験前に休みが取りやすいか、受検費用の負担があるかで、現実的な負荷が変わります。応募の段階で聞いておいて損はありません。



